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相談事例集
 

相談事例76: 呉服の過量販売


  20年くらい前に娘の成人式の着物を買って以来、呉服店から声がかかる。4ヶ月前に観劇に誘われたが、行ったのは着物の展示会場だった。「買えない」と断ったが、肩にかけて勧められ、断ったにもかかわらず契約させられてしまった。さらに先月、京都への旅行に誘われ、現地の宿泊施設で強引に着物と帯を勧められた。断ったが旅費を負担してもらっている手前契約せざるを得なかった。高額なので解約したい(323万円)。2度目の契約書は受け取っていない。

(70歳代 女性)


 勧誘の一部始終を明らかにして苦情を書面で申し出るように助言しました。相談者から書面で、1)特定商取引法に基づく書面不交付を根拠とするクーリング・オフ、2)展示会場で断ったにもかかわらず退去を妨害され、契約せざるを得なくなったことによる消費者契約法に基づく取消しを主張したところ、呉服店も解約を受入れました。


 呉服販売商法については、9月号で実際に販売業務に従事していた元販売員の告白の概要を紹介しました。呉服店のすべてがこのような営業を行っているわけではありませんが、呉服の販売手法には確立された多くの共通点が認められます。呉服関係(装身具類もセットで販売されていることが多い)のトラブルの場合、必ずしも判断力の有無だけが問題解決の決め手になるわけではありません。それだけに解決するのに難しさが伴いますが、当センターでは、次のような点に着眼しながら、問題解決を図るよう心がけています。

1. 判断力の有無
○医師の診断は受けてなくとも、判断力、気力の衰えからくる交渉力あるいは拒絶力に問題のある高齢者ではないか。
○症状に軽重の差はあっても、過去に脳疾患の既往歴がないか。認知症あるいはアルツハイマー病の疑いといったことを、医師がカルテに記載したり、親族に事情を質したりしているようなことがないか。

2. アポイントメントセールス、展示会商法といった特殊な販売テクニックの有無
○展示会開催の案内状を特定の担当職員が持参していないか。
○「見るだけでいいから」、「買う必要はないから」と言って会場へ誘引していないか。
○顧客担当の従業員が電話で参加を要請していないか。
○タクシー券や豪華弁当を顧客に提供していないか。
○海外旅行、温泉旅行、慰安旅行等を主宰し、現地の宿泊施設等で勧誘していないか。
○有名な映画俳優あるいはテレビタレントを宿泊施設等に登場させ、密室状態の中で取引行為に利用していないか。
○交付された法定書面の記載事項は法定要件を充しているか。

3. 商品価格の妥当性
○暴利行為(他人の無思慮・窮迫に乗じて不当な利益を得る行為)に当たらないか。
○「一点物」、「特定の制作者名を冠した製作物」という説明を行っていないか。このような場合、呉服であっても絵画などと同じく価格の客観的評価が困難となり、価格が跳ね上がる。

4. 長崎県消費生活条例との整合性
 次々販売、過量販売、過剰与信など長崎県消費生活条例で指定する18の不当な取引方法を用いていないか。


5. 信販会社職員の立会いの有無
 展示会や旅行先などに信販会社職員が立ち会っていないか。原則として、信販会社職員が販売現場に立会うことはまれである。


6. クレジット契約の手数料率
 クレジット契約書の手数料率がゼロで記載され、価格に転嫁されているのか否かが一瞥しただけでは判別しづらい契約書面が作成されていないか。これは慎むようにとの国からの通達が出ている。

 以上が主な着眼点です。呉服販売商法の場合、「判断力の有無」もですが、「孤独」や「寂しさ」も被害に遭う大きな要素になっていることにご注意ください。

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