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相談事例集
 

相談事例70: 複合サービス会員権


 10年以上前、旅行等のサービス会員になるため高額なビデオセットをクレジットで買い、払い終えた(当時で70万円)。しかし、最近になって、会費の未納があるといって高額の請求を受けた(88,200円)。期限までに支払いがないときは支払督促を発付するというが、当時、他に会費の支払義務があったかどうかなど覚えていない。払いたくない。

(30歳代 女性)


 相談者の話の内容から、相談者は、当時、「いわゆるアポイントメントセールス」と呼ばれる問題商法の被害に遭っていたことが分かりましたので、「動機の錯誤に陥ってした承諾は、そのことを相手が承知している場合には契約の要素に錯誤があり無効となる(民法95条)。ついては、会費の支払義務もないし商品代金の返還を求める」という内容の書面を業者に送付するよう助言しました。現在、業者の対応を待っているところです。


 最近、10年以上前に完済した商品購入契約であるにもかかわらず、それに付随して加入した複合サービス会員制クラブの会費が未納になっているので納めて欲しい、期限までに納入がないときは支払督促あるいは少額訴訟手続を取る、といった「滞納会費の督促」に関する相談が増えています。
 この相談者の場合、10年前のトラブルは次のようなものでした。

 【10年前、「○月○日、隣市のホテルでイベントを開催します。すばらしいプレゼントを準備していますのでよかったらご参加ください」とのハガキがきたので、 当日、ホテルに出向いた。しかし、イベントなどやっておらず、ホテルのロビーで待っていた若いハンサムな男性に隣のレストランへ連れていかれ、『あなたは特別に選ばれた。一流のリゾート地の一流ホテルに格安で宿泊できる、一流のオーディオなどの商品が安く買える、といった特典のついた会員制のクラブがあるから入会しないか』と勧められた。相談者は『お金も暇もない』と4時間近く必死に断ったが、レストランでコーヒー一杯しかお腹に入れていなかったため、空腹感に負け、早く帰りたい一心から承諾してしまった(入会金70万円)。ところが、クレジット契約書を作成する段階になって、男性は、『会員制クラブの入会金をクレジットで払うのは法律違反になるので、契約書面上はビデオセットを買ったことにして、そのおまけとして会員制クラブ利用権を付ける形にする』と言い、相談者もよく分からないまま、同意し、署名してしまった。その後、ビデオセットが送付されてきた時にクーリング・オフを主張したが、『期間が徒過している』ということで拒否された。会員制クラブはまったく利用していない。 】 

 「いわゆるアポイントメントセールス」と呼ばれる問題商法には、「目的隠匿型呼出販売」といわれるものと、「有利条件型呼出販売」といわれるものの二種類があり、相談者が遭遇したのは前者のタイプです。
 この商法は、20歳〜22歳という子供ではないが社会人としての常識もないという年齢層をターゲットにしています。問題商法としてその方面の業界ではすでにテクニックが確立されていますから(詐欺の要素が強い)、両親やその他の社会人が第三者としてこの取引に関与することを極端に嫌がります。社会人の常識で判断すれば、会員制クラブの特典は単なるユートピア、夢物語に近いようなセールストークなのですが、若者には人を疑うことを恥とする潔癖な性向がありますから、セールストークの内容についてもさほど疑うことをしません。ですから、若者の傍らに的確なアドバイスをする冷静な社会人が付いていては仕事にならないのです。
 会費の支払請求を商品の支払が完全に終わった後に開始するのは、一つには、クレジット会社を欺罔商法の共犯の立場に引きずり込まないための配慮をしているのではないかということが考えられます(クレジットが利用できなければ、若者の経済力からいってもこの商法は成立しません。業者にとってもクレジット会社の勘気を被るのは怖い)。他には、私法上の取消権の消滅時効等(消費者契約法7条、民法125条)、並びに公法上の公訴時効(刑事訴訟法250条など)のことを配慮しているのではないかと当センターでは推定しています。
 しかし、要素の錯誤(民法95条)の効果は無効であり、消滅時効制度になじみませんから、このような請求には有効な方法だと考えられます。公序良俗違反(同じく無効。同法90条)を主張することも考えられます。
 不本意な買い物をせざるを得ない立場に追い込まれ、現在、せっせと支払を続けている若者(元「若者」も含みます)のみなさん、「もしかしたら自分も?」と思ったときはいつでもセンターにご相談ください。

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