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相談事例集
 

相談事例55: 内職商法に潜むもの


 2年半前、ホームページひとつ作成するだけで5万円の収入がある、仕事はあっせんするが途切れることはない、クレジットの支払いは収入で賄える、と電話で勧誘されCD-ROMの契約をした(127万円)。クレジットはかなり払ったのに、仕事をあっせんしてくれないので解約したい。

(30歳代 女性)


 法定書面を確認したところ、クーリング・オフ期間が8日間となっていること、代表者名が記載されていないこと、商品名の記載が明確でないこと等を根拠に契約の解除を、また、消費者契約法に基づく不実告知を根拠に契約の取消しを主張するよう助言しました。最終的に支払済みの108万円を返金してもらうことで合意解約が成立しました。


 この商法は、特定商取引法では「業務提供誘引販売取引」として規制されています(俗称は「内職商法」。以下、これで通します)。
  内職商法は、「業務提供利益」と「特定負担」という二つの言葉で構成されています。
  勧誘のパターンは、普通、「この商品を購入すれば(特定負担)、この商品を使用した仕事を提供する(業務提供利益)。月に5万円前後の収入が得られるので(業務提供利益)、クレジットの支払い(特定負担)は心配ない。クレジットを払い終えたら(特定負担の消滅)、後はまるまるあなたの収入になる(業務提供利益のみ)。どうですか?」等という形で行われます。
 内職商法のトラブルは、セールストークどおりの業務提供利益が得られないことに対する消費者の不満という形で表面化します。
 消費者は業務提供利益を得るために高額の特定負担を引き受けるわけですが、事業者は、消費者の特定負担(売り上げ)をクーリング・オフされることなしに確保した時点から、業務提供利益に対する履行義務の遵守意識が急速に衰えていくように感じられます。
 当センターに寄せられた事業者の具体的な対応で多いのは、パソコン関連の場合、 1)検定試験や資格試験のハードルを設ける(その準備期間中に20日間のクーリング・オフ期間が徒過する)、 2)どうにかハードルをクリアした消費者(パソコンの練達者は合格させず、初心者を合格させているもよう)に対してはささやかに業務を提供し、ささやかな報酬を支給する(詐欺の追求を免れるため?)、 3)その後、社会情勢が変化し業務の受注量が減少したので十分に業務を提供できない、ついては当分の間休業するなどと通告する(連絡が取れなくなる、弁護士から破産手続の通知がくる)、という流れをたどるものです。
 結局、内職商法というのは、業務提供利益が提供されなくなると、消費者に残るのは借金だけ(クレジット契約の融資者が貸金業者の場合、金利はほぼすべて年率29.2%です)ということははっきりしています。
 最近の傾向として、インターネットを介してOLや女子大生が内職商法に引きずり込まれ、被害を被るケースが増えています。インターネットでの契約の場合、トラブルが生じたときに電話による勧誘に比べてよりシビアな主張をされますから注意してください。
 何がシビアなのかといえば、商品代金支払いのために融資をした業者が貸金業者の場合、「当社は、内職業者との間に加盟店契約を締結していないし何の関係もない。したがって、消費者との間に締結した契約は金銭消費貸借契約であって、立替払契約ではないから、割賦販売法の適用はない(割賦販売法『2条3項2 号括弧書き』や『30条の4』の規定など)」と、消費者保護を目的とした法令の適用を排除してかかるのです。 消費者は、内職業者にあっせんされたり紹介されたりして、内職業者や貸金業者から送られてきた用紙に必要事項を記載して送り返しただけ、と主張しているにもかかわらずです。
 貸金業者の主張が正しいとすれば、消費者は、大海の中から一粒の粟を探すような思いをして年率29.2%の高利の貸金業者を探し出し、あえて契約してもらったことになります。しかし、こんな理不尽な話があるでしょうか。地元でも年率25%から27%で融資してくれる貸金業者がいるにもかかわらず、何を好んで出資法抵触寸前の高利の融資を受ける必要があるのか、その主張の整合性に大きな疑問を感じます。
 いずれにせよ、内職商法の類には手を出さないのが賢明です。勧誘されたらまずご相談ください。多額かつ高利の借金だけが残るのは目に見えているからです。

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