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相談事例集
 

相談事例41: 支払督促による情報料の請求


 平成15年7月、「利用したサイトの利用料金をお支払いください。こちらには通信記録が残っています。支払う意思がないなら裁判を起こすことになりますが、それでいいですか?」という電話が突然自宅にかかってきた。「支払う意思がない」旨回答すると、「それではハガキを送ります」と相手は言い、数日後、本当に催告のハガキが送られてきた。相談者は「この金額で済むのなら」と思い、請求されている6,000円を支払った。
  ところが、今年の9月23日、突然、長崎簡易裁判所から「サイト利用料78,000円」を払え、という「支払督促」が送達されてきた。身に覚えがないので払いたくない。どうしたらいいか。

(40歳代 男性)


 相談者は「身に覚えがない」とのことでしたので、当該支払督促に添付されている注意書の内容にしたがって、「督促異議の申立て」を行うように助言しました。
 その後、10月13日付けで、 1)11月8日午後1時10分に長崎簡易裁判所へ出頭すること、 2)答弁書を11月1日までに提出すること、の二点が記載された「口頭弁論期日呼出及び答弁書催告状」が送付されてきましたので、答弁書を提出するよう助言しました。しかし、答弁書提出後、裁判所から当日の口頭弁論は中止するとの連絡があり、この相談は事実上の決着をみました。


 最近、出会い系サイトなどで「身に覚えがない」にもかかわらずお金を請求されたり、仮に「身に覚えがあって」も種々の名目をつけて法外なお金を請求されるケースが増えています。消費者にとってその行き着く最悪のケースが、今回の簡易裁判所を利用した「支払督促」による情報料の請求です。
 「支払督促」というのは、債権者(事業者・申立人のこと)の提出した申立書だけで審査し、債務者(消費者サイド)の言い分は聴かないでなされます(民事訴訟法382条以下)。窓口は簡易裁判所です。申立手続きは簡単なのですが、消費者が安易に考えて手続きを怠ると、最終的な効果は判決と同じですから支払う義務のないお金を国家により合法的に支払わされることになります。
 私たちは、普段、裁判所とはあまり縁のない生活を送っています。それだけに、裁判所からいかめしい封筒入りの書面が届けられたりすると、「ドキッとする」のも無理からぬ話です。まして、請求されている内容がまったく身に覚えがないとき、あるいは身に覚えがあってもその請求金額が法外なときはどうしたものか途方に暮れるのではないでしょうか。以下に、このような場面に遭遇した場合の対処法をまとめておきますのでご活用ください。

1. どうしてよいか見当もつかないという方は、住んでいる市町村の窓口、消費生活センターあるいはもよりの警察署にご相談ください。有料でも早く解決したいという方は、司法書士や弁護士といった法律の専門家に相談されることをお勧めします。

2. 自分で解決してみようと思われる方は次の順序で考えてみてください。解決の糸口が見えてきますから、「督促異議の申立て」を自分で作成することができます。


a. まず、お金を払う場合には何らかの原因があるはずです。普通は契約関係に基づくものがほとんどですが、他人の権利を侵害している場合も考えられます。しかし、どう思い起こしても何もないというときは、あなたは騙されかけています。契約は普通、原則として「何を、幾らで、誰と」という要件がそろっています。この要件がないときは契約は存在しない、したがってお金を払う義務はないと考えていいと思います。


b. 仮に契約が成立していたとしても、勘違い(錯誤・民法95条)していることもあり得ます。この場合、原則無効ですから、お金を払う義務はありません。


c. ただ、一概に勘違いといっても、あなたに重大な過失があるときは、無効の主張はできません(民法95条ただし書き)。しかし、契約が「電子消費者契約」の場合(「電子消費者契約」とは 1)消費者、事業者間の契約であって、 2)携帯電話やパソコンなどを用いて送信される消費者の申込み又は承諾の意思表示が、 3)事業者などの設定した画面上の手続きに従って行われる契約、のこと。)、無効の主張をできるときがあります(電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律3条本文)。


d. 上記のいずれにも該当しない場合であっても、事業者の価格設定延滞金や調査料名目が暴利行為として社会的妥当性を欠き、公序良俗に抵触し無効という場合があります(民法90条)。

 仮に、いずれにも該当しないように思われる場合であっても、「最後は裁判所で決着を着けてもらおう」くらいの気持ちで対応することが必要です。焦って早く解決して不安を除いてしまおうと考え納得できないけどお金を払って済むことならばと安易にお金を払うのは次の請求につながるものです。裁判所は健全な社会人の味方です。「無理が通れば道理が引っ込む」社会であっては困ります。

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