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相談事例37: アポイントメント商法


 3ヶ月前、女性から電話で呼び出され、希少価値が高いというブルーダイヤのペンダントを勧められた。「100万円くらいの商品だが、あなたが口コミで宣伝してくれれば半額にする」というので契約したが(50万円)、クレジット契約の支払が遅れ父に知られてしまった。父が質屋に見せたところ、「色つけ石で2万円くらいの値打ち」と言われたとのことで、解約を申し出たら、解約金15万円を要求された。

(20歳代 男性)


 商品の品質及び価格に関して事実と異なる説明をしているので、販売業者に対して消費者契約法4条の「不実告知」及び民法95条の「要素の錯誤」を根拠に契約の取消・無効を主張するとともに、信販会社に対して支払い停止の抗弁を申し立てるよう助言しました。
 その後、信販会社も主張を受け入れ、返金に応じました。


 アポイントメント商法は、20〜22歳くらいの若者を対象とした典型的な悪質商法です。何が悪質かといえば、純粋な新成人に、法律の規定を利用して、違法・不当に「契約の罠」をかけることです。
 日本では20歳になると法律的には一人前ということになり、単独で完全に契約を締結できるようになります(民法3条、4条)。ということは、19歳までは一人前と認められなかった若者(法律的には「制限能力者」といいます)が、20歳になった途端に大人として法律上一人前の責任を追及されることになるわけです。
 しかし、例えば、19歳11ヶ月と26日の若者が、5日か6日後に20歳になったとしても、頭の中の思考回路が大人社会に順応できるように急速に変化するものでしょうか。
 アポイントメント商法とは、まさしく、若者が「制限能力者」から「形式的な法律上の一人前」になった瞬間を狙い撃つ商法なのです。
 アポイントメント商法では、担当者の役割が実行の着手から終了にいたるまで一連の流れとしてマニュアル化されています。まず、20〜22歳に当たる若者を搭載した卒業生名簿あるいは成人式名簿などから候補者を選び、この若者たちに順次電話をかけ、あるいはDMを送ります。応じてきた若者を喫茶店やファミリーレストランなどで、一杯のコーヒーや紅茶などで長時間、親しい友人か恋人のような雰囲気で、爽やかに「事実と違うことを説明し」て「事実と誤認さ」せ、「契約書の作成」に導き、「利益を得」ることを目指します。
 その結果、不運にも契約の罠にかかってしまうと、クーリング・オフ期間を過ぎると無償で解決することが困難になります。
 「がっちりと契約の罠にかけられた」若者は逃れようとしてもがき苦しみますが、そのことを見越して「和解」という解決方法があらかじめ準備されています。必死に解決を求めて自主交渉する若者に対しては、解決に要した期間に応じて和解金額が定められていますから、契約金額の1割〜7割という法外な負担をすることにより、若者は晴れて契約の罠から解放されることもありますが、まさしく大人社会への門出で味わわされる苦渋ということになります。
 和解という解決方法は、一見、若者をより少ない被害で救済してくれるありがたい解決方法のように見えます。しかし、罠をかけた販売業者にとっても非常に都合のよい解決方法ということがいえます。和解契約という新たな契約を締結することにより、販売業者も若者に対して繰り広げた行為から違法・不当性を浄化することができるからです。
 今年11月、改正特定商取引法が施行されます。改正の柱の一つがアポイントメント商法対策です。なかでも、初めて、特定商取引法に「虚偽説明、不実説明の場合の取消制度」が規定されましたので、消費者にとって、クーリング・オフ以外にも、また新たな武器が一つ増えることになります。
 しかし、万が一、思わぬ契約をさせられた場合は、一日も早くご相談ください。この世にうまい話はありません。20〜22歳の方、くれぐれも注意しましょう。

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